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今日ご紹介するのは小山薫堂さんの著書『恋する日本語』です。

この本のことを知ったのは、同じく小山薫堂さんがされている『裏 FUTURESCAPE』というPodcast番組の中で紹介されたからなのですが、読んでみたら、「ほっこり」というか「胸がキュン」とするというか、そんな感じだったので、ぜひ、多くの人に読んでもらいたいな~ と思ったのです。


この本には聞いたことはあるけど、意味や使い方がよくわからない言葉を題材に35本の超ショートストーリーが載っているのですが、その中から5本紹介しますね。


最初は「赤心(せきしん)です。
同窓会で、
昔のボーイフレンドと再会した。

帰る方向が一緒だったので、
タクシーでうちの前まで送ってもらった。
でも、着いたところで……
今の彼と偶然、はちあわせ。

彼は「今のは誰?」と
私に尋ねることもなく、
ただ、「おかえり」と笑顔で迎えてくれた。

私は彼の、そんなところが大好きだ。


【赤心】
偽りのない心。
人を心から信用して、全く疑わない心。


次は、これとはまったく反対のお話で、「心掟(こころおきて)という言葉です。
デートの途中、昔の彼とバッタリ出会った。

「さっきのは誰?」
と今の彼に尋ねられた私は、
表情一つ変えずに、
「母のいとこの息子なの」
と答えた。

嫉妬深い彼は、ちょっと安心したみたい。

恋には嘘も必要だ、と私は思っている。


【心掟】
心に思い定めていること
さて、みなさんの理想はどちらでしょうか??

私は「赤心」に出てきた彼のような態度でいられるようになりたいな~ と思うし、自分のパートナーにも、そうあって欲しいと思うのですが、高望みかな??(;^_^A



次は「終夜(よすがら)のお話
彼がうちに泊まりに来た夜、
些細なことで喧嘩になった。

お互いの怒りの炎は、
ボヤから始まった大火事のように、
手が付けられないほどに燃え広がっていく。

結局、朝方まで口論を続け、
疲れ果てた私たちは、
モーニングサービスが始まった
デニーズへ向かった。

無事、鎮火……。


【終夜】
一晩中。夜どおし
最後の「無事、鎮火……。」っていいですよね~

お互い言いたいことを言い合うけど、最終的には「無事、鎮火……。」
それが理想だと思います。



次は「帰趨(きすう)
去年の暮れ、5年間付き合っても
煮え切らない彼と別れた

ひとりぼっちのお正月……

カレンダーの書きこんでいた
予定はすべて撤回

届いたばかりの年賀状を見ていたら、
別れる前に彼が書いた年賀状が混じっていた。

「今年こそは、ちゃんとプロポーズするから、
 もうちょっとだけ、待っててね!」

彼の携帯、今、つながるだろうか……

 
【帰趨】
最終的に落ち着くところ。帰着するところ。
このストーリーを読んだあと、
彼の携帯はつながったのかな??
と思ってしまいました。

でもタイトルが「帰趨」だしその意味は「最終的に落ち着くところ。帰着するところ。」なので、きっとつながったのでしょうね^^



最後は、何度読んでも笑ってしまう「一曲(ひとくねり)のストーリー
昨日、久しぶりに髪を切った。

私的には大冒険だったのに、
彼はちっとも気づいてくれない。

それらしいサインを送るため、
髪の毛を触っていると、
彼は私にこう言った。

「寝ぐせなら心配ないよ」

さて、今夜は何をご馳走してもらおう……。


【一曲】
ちょっとすねること
みなさんはどうですか?
自分のパートナーが髪を切ったらすぐに気付きますか??
それとも、このストーリーの彼のように気づかず
「寝ぐせなら心配ないよ」と言ってしまう方ですか??(笑)



35編中、5編しかご紹介しませんでしたが、いかがですか??
これだけでも、なんとなく、ココロがほっこりしませんでしたか??

私は1編1編読みながら、上のコメントに書いたようなことを考えてしまっていました。



最後に、本書の「文庫のあとがき」にこう書かれています。
 僕は「咀嚼」という言葉が好きです。
 
 子供の頃、よく母親に言われました。
 
「ご飯はよく噛んで食べなさい。噛めば噛むほど甘くなるのよ」
 
 以来何事においてもおいしい思いをするためには、咀嚼が必要だと考えてきました。
 
 そしてこの本もまた、咀嚼が必要な作りになっています。
 
 パラパラッとめくっただけでは、薄味の超ショートストーリーでしかありません。
 
 けれども、何度も繰り返し咀嚼することで、確実に味はよくなっていくはずです。自分の経験というスパイスを加えれば、さらに美味なものになることは間違いないでしょう。
 
<後略>

本書に書かれているのは超ショートストーリーですから、1回読むだけなら30分もかかりません。
でも、1回読むだけではもったいないんじゃないかな。

何度も何度も、ゆっくりと噛みしめながら読むと、毎回違う味が楽しめる、そんな本なのではないかな~と思います。
 通勤途中にため息が出そうになった時、ふとした拍子に寂しさを感じた時、週末に備えてちょっと元気になりたい時、そして新しい恋を始めたい時……どうぞ、この本を開いて日本語を咀嚼してください。この本は、読むビタミンでもあるのです。(「文庫本あとがき」)








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